2013-10-30

季節の絵の具

おはようございます。
雨上がりの朝、箱根山の海沿いも青空が戻ってきました。午前10時現在、20.4℃。昨日までの寒さ…この秋はじめてセーターを着ました…も和らぎ、穏やかな一日になりそうです。

みなさまの地方はいかがでしょうか。
お変わりはありませんか。


駐車場から宿へ上がるアプローチ上の花壇に、今年もイソギクとイソブキの黄金色の花が咲き始めました。
黄色い秋の日差しと共に、晩秋の今の季節を彩る自然の絵の具です。

イソギクは、キク科キク属(Derndranthema)の野菊の一種で、千葉県の犬吠埼から静岡県の御前崎までの関東南部、東海地方東部と伊豆諸島の沿岸地域のみに自生します。いわゆるフォッサマグナ要素(伊豆箱根富士火山帯から新潟県糸魚川東部付近までの地理的環境にのみ見られるフロラ=植物相)と呼ばれる植物です。

普通の菊の様な花弁状の舌状花がなく、中心の頭状花のみですが、それが鮮やかな黄金色で、海岸植物特有の厚手で銀色の縁のある緑の葉との対象が美しく、昔から栽培もされてきました。民間薬としても、しもやけや腫れ物の治療に利用されてきたそうです。


写真中央の舌状花を持つ、やはり黄金色の花がイソブキです。
福島、石川県以南の日本、琉球列島の海岸沿いに自生するキク科の植物で、葉の形がフキに似ているのでこの名があります(葉がツヤツヤしているのでツワブキとも呼ばれ、こちらが標準和名です)。

強い抗菌作用を持つヘキセナール(青葉アルデヒド)とタンニンを含み、昔から傷や傷んだ肌を治療する民間薬として用いられてきました。また、春先に伸びる新葉の葉柄はフキ同様に食用に出来、フキとは違った青葉アルコールの清々しい香りがあり、とても美味しいです。

ただ、ピロリジジンアルカロイドという肝臓に負担をかける物質を含むので、食用にする場合は十分なアク抜きが必要だそうです(これはフキやフキノトウも同様です)。私達は甘酢漬けのピクルス(アク抜きになります)にして楽しんでいます。